シャープ、パット、ドロー、チェロの四人は、パラス城へと向かっていた。
「今の内に、皆さんに王族のみしか知らされていない、この国の秘密をお伝えしておきたいと思います」
チェロが神妙な面持ちで話し出した。
「手短にな」
ドローが目線を移さずに言った。
「はい、実は・・・不死鳥なんて切り札はないかも知れないのです」
「はぁ?」
三人が思わず立ち止まった。
「おい!今更何言ってんだよ!」
「だってそうじゃないですか!」
チェロは目に涙を溜めていた。
「お、落ち着いて下さい」
シャープはチェロの肩に優しく手を置いた。
「落ち着いていられません。我々の国には、不死鳥が実際にいたという文献も証拠も何もない。あるのはただの『木彫りの不死鳥』だけ・・・」
チェロはとうとう我慢し切れずに涙が溢れ出してきた。
「不死鳥の召喚の方法もわからない。私達では、この国は、救えないかもしれない!」
チェロは地面に崩れ落ちた。
「バカ野郎、考えても答えが出ないなら、前へ進むしかないだろう、姫」
パットはパラス城へと走った。
「そう、私達は結局、何もできないかもしれない。だけど、戦うしかないんですよ」
シャープとドローも駆け出した。
「見えた!パラス城ですよ!」
タクト、パール、ウェド、フラットもオーケスへ辿り着いていた。
「やっと来たわね。タクトの故郷」
「ああ、後は、姫に会わねぇとな」
「ルパスの軍勢がやってくる前に片をつけましょう」
「みんな・・・」
タクトが三人の注目を集めた。
「姫が送ってきた手紙からして、もしかしたらこれが最後の戦いになるかもしれない。だから・・・最後は・・・この戦いの最後には、みんなで笑っていよう」
タクトの真剣な顔にパールが吹き出した。
「ふふ、ええ、全部終わった後にはちゃーんとカーミッシュ食べさせてよね」
タクトはぎこちなく笑ってみせた。
「さて、じゃあ、行くか。決着をつけに」
四人は目の前に現れたオーケスへ歩き始めた。
「なんだ・・・なんなんだよ、どうなってんだ!」
パット達の目の前には、無惨にもパラス城の前に横たわる街中の人々の遺体があった。
パットは怒り狂い、三人は言葉も出なかった。
そんな四人を取り囲むように、無数の桜の花びらが舞い始めた。