それからのことは、この小説を読んだ人は知っているだろう。
私は結局、バンドに加わって、逃げ出したはずの音楽に、またしがみついてる。
何度も嫌いだったらよかった、もうやりたくない、やめたいって思た。
でも、やっぱり嫌いになれない。
ピアノが好き
音楽が好き
やっぱり嫌いになれない。
だから、私はもう諦めた。
嫌いになれないなら、やっぱり私はピアノをやめることはできない。
もし両手がなくなって、ピアノが弾けなくなっても、どんな形でもいいから音楽を続けたい。
音楽の喜びはいつも一瞬だ。
しかも、その一瞬がこないときもある。
その一瞬にたどり着くまでは、楽しい時もあれば、本当に辛い時だってある。
なんで、そんなくるかどうかもわからない一瞬のために、こんな苦労をしなきゃいけないんだろう
何度も思った。
でも、もうわかった
その一瞬が辛さも不安も全部消してしまって、私の心に残るのは、やっててよかったっていう喜びだけ。
だから私は、最後まで、その一瞬を目指す。
みんなと奏でる最後の歌も――