「まあとにかく…昼飯作るから2人で適当にしゃべっといて。」
亮平はキッチンへ向かった。
「何か野菜あるー?私最近ダイエット中だからサラダ食べたいなー」
「麻友美はチャーハンがいいな!」
「はいはい…ったく…とんだ邪魔が入ったな…」
「お兄ちゃん何か言った?」
「なんでもないです。…2人ともチャーハンとサラダでいいね?」
「野菜たっぷりめでお願い!」
「あと胡椒いっぱいかけて!」
「そこの棚にあるから好きなだけかけろよ。」
人に昼飯を作ってもらってるのにあれこれ注文され、亮平は少々嫌な気分だった。
ともあれ身支度をして手際よく調理を進める。
「ねー麻友美ちゃん。」
「何ですか?綾香さん。」
「敬語じゃなくていいよ。…子供の頃の亮平って、どんな感じだったの?」
「んー…あんまり覚えてない。」
亮平は思わずずっこけた。
「何で覚えてないんだよ…」
「やっぱりー。印象薄かったんだね。今もそうだもん。」
なぜか納得する綾香。
「2人ともひどくない?」
「いいから早くご飯作ってよお兄ちゃん。」
「コンロから目離しちゃだめでしょ。」
「…」
ほんと早く帰ってくれないかな…
「あ、そういえば。」
麻友美が思い出したように口を開く。
「お兄ちゃん子供のころいっつもお父さんとお母さんに怒られてた。」
「マジで?」
「うん。頭悪いからテストで悪い点ばっかしか取れないし、皿割ったり色んなイタズラしてたし…」
やっと思い出したかと思えばマイナスなことばかり。
過去の傷を刔られたようで亮平は泣きたくなった。
「そっかぁ…でも子供のころって大体そんな感じじゃない?」
「麻友美はずっといい子だったんだけどなぁ…」
「自分で言うなよ。」
亮平は麻友美に背を向けながら突っ込んだ。
「少なくともお兄ちゃんよりはいい子でしたよー。」
麻友美は嫌味っぽく言った。
「ほんと仲良しなんだね。」
綾香はその様子を微笑みながら見ていた。
「んー…普通だよ。ケンカもいっぱいするし。」
「でもうらやましいなー…」
「はい、出来たよー。」
亮平は出来上がったサラダとチャーハンをテーブルに並べた。
続く