「止めろよ…何揉めてんだよ…ってか巻き込むな!」
「「黙ってて!」」
2人はまた息を揃えて亮平に怒鳴ると、また喧嘩を始めた。
「大体麻友美ちゃん生意気だよ?いくら妹だからって…そんなんじゃ嫌われちゃうよ?」
「そういう綾香さんだって!そんな嫉妬深いと別れられちゃうんだから!」
「何よ!」
「もー怒った!」
2人は揉み合いになりながら外に出た。
「おいこら!」
亮平は慌てて玄関に向かった。何せ亮平の住んでいるマンションには亮平の友人もいるし、一般家庭も住んでいる。みっともない真似は出来ない。
亮平は勢いよくドアを開けた。
「お前らいい加減に…」
パン!パン!
いきなり鳴り響いた音に亮平はびっくりした。
「お兄ちゃん!」
「亮平!」
「「お誕生日、おめでとう!」」
そこにはさっきとは打って変わってニコニコと微笑んだ麻友美と綾香が立っていた。
「…え?」
「ごめんねー。ビックリさせて。」
「麻友美と綾香さん、2ヶ月くらい前に知り合ったんだ!」
「今はもう亡くなったけど…隼人君の妹さんの瑠奈ちゃんが紹介してくれたの。亮平に妹がいるって知らなかったからびっくりしちゃったけどね。」
「色々話してるうちに仲良くなって、もうすぐお兄ちゃんの誕生日だから何かサプライズしようって言ったの。」
亮平は嬉しいというよりわけが分からなかった。
「じゃあ、今日が初対面じゃないの?」
「うん。騙しててごめんね、亮平。」
綾香が申し訳なさそうに微笑む。
「普通にお祝いしても良かったんだけど、どうせならお兄ちゃんのことちょっと困らせた後に一気にドカーン!ってお祝いしようと思ったんだ。」
麻友美は舌を出した。
「綾香さんも麻友美も、お兄ちゃんのこと大好きだから!」
「麻友美…」
亮平はほっとしたように微笑んだ。
「ありがとう。何かいきなりすぎて実感沸かないけど…嬉しいよ。」
「でもちょっとやりすぎちゃったね。名演技だったよ、麻友美ちゃん。」
「綾香さんも。お兄ちゃんをびっくりさせるには十分だったよ!ね、お兄ちゃん!」
「そうだな。」
3人は幸せそうに笑った。
なかなか、洒落たことするじゃん。
亮平は2人のことがすっかり気に入っていた。
続く