「あ、そうそう。誕生日と言ったらやっぱこれだよねー。」
麻友美と綾香はドアの横に置いてあった袋を手に取り、亮平に渡した。
「何これ?プレゼント?」
「開けてみて。」
麻友美が渡してくれた袋に入っていたのは財布だった。
「お兄ちゃんの財布ぼろっちいでしょ?センスも古いし…それに貧乏だし…お金たくさん貯まるように、財布プレゼントするね。」
「あ…ああ、ありがとう。」
亮平は引き攣った笑いを浮かべた。
財布は嬉しいが何かバカにされた気分だ。
「私のも開けてみて。」
綾香が渡してくれた袋に入っていたのはジーンズだった。
「それ高かったんだよー。亮平ファッションセンスあんまないから、せめてジーンズだけでも私がコーディネートしてあげようと思って。今のままじゃ一緒に歩いてて恥ずかしいしね。」
「…ありがとう。」
本当は文句言いたかったが、せっかくプレゼントしてくれたものなので、亮平は黙って受け取ることにした。
「これだけ愛情こもったのあげたんだから、お返し期待できそうだね、麻友美ちゃん。」
「うん。あ、麻友美ケーキバイキングがいい!ちょっと高めの。」
「は…?」
「私はバッグほしいなー。イェルメスの。」
「おい。」
「お兄ちゃん優しいから何でもプレゼントくれるよね?あ、海外旅行も行きたい!」
「そろそろ私も免許取れそうだから車もほしいなー。」
全く割に合わない要求ばかりの2人。
結局たかりに来たのか…
亮平は心底失望していた。
とんでもない彼女と妹を持ってしまったものだ。
「私の誕生日まで待ってあげるから、お返し、よろしくね。」
「期待してるからね、お兄ちゃん。」
「…帰ってくれ。」
終わり