明くる日の朝早く、キーオーは叔父さんに呼び出された。
空は晴れていたが、西の空の積乱雲が嵐の到来を予言していた。
キーオーと叔父さんは村の外れにある林の中までやってきた。
叔父さんはフードとマントを付け身支度をしていたので、キーオーはてっきり旅連れってくれるのかと思い身支度をしていた。
だが、叔父さんは林の中で止まりバックから青い宝石を取り出した。
キーオーはその美しさに心奪われた。
そして深海のように青く澄みきっているこの石に、命を与えたり奪い取ったりできる力があるように感じた。
「お前か、お前の母さんか、セイルに渡そう思っていたものだが、結局お前に渡す事にした。この石にはな、とてつもない力がある。世界を変える力も、破滅させる力もな。
お前やるべき事はこの石が連邦やジークの手に渡るのを阻止する事だ。この石を家の物置の一番目の付かないところにしまっておけ。この石は壊すはできない。こんなものは世界の終わりまで使わない方がいい。意思の強いお前ならできるはずだ。」
「はい…。」
予想外の叔父さんの言葉にキーオーはそれしか言えなかった。
「本当はもっと居てやりたかった。だがなあまり時間無い。直に連邦の特捜部が来る。」
「え!?」
「昼間の死体。あれは俺の付き人だった男さ。連邦は彼から俺の居場所を聞き出したはずだ。奴らは俺を追ってる。俺が奴らに見つかる前に逃げればお前達は知らないと答えばいい。
キーオー。石は任せた。もうここへは戻らないだろうからな。」
その刹那、雨粒が空から落ちてきた。
叔父さんは静かに歩き去ろうとしていた。