デジログ使いと翁の鍵 第20ログ―会議室―

白山こっこ  2006-08-29投稿
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第20ログ―会議室―\r

恐怖ではない硬直を、その円の中心に位置する栽流が破った。
「ともかく君は放課後、会議室に来ると良い。あそこは僕達委員の部屋だからな。たまに君の様に問題のある生徒を厳しー…くたしなめている。君とはじっくり話がしたいだけだが、ね…」
と、殺気を放っているとも余裕を見せつけているとも取れる笑みを口に浮かべた。
「…素直に行くとでも思ってんのか?」
「…只の期待だよ。気にするな」
後ろを向いて帰ろうとする栽流を力いっぱい睨み、零太は拳を握る。
と。
次の瞬間。
ドガッ…
小爆発でも起きたのかというような音を立てて、彼等二人の拳は交差した。零太は背後から頭部を狙ったのだが、それを感じ取って栽流が弾き返したのだ。さすがお互いに百戦錬磨なのでどちらかが引き下がるということは無い。むしろ力は互角だ。切助は驚くも、楽しそうに笑う。
「…会議室。
続きはそこで、だ」
栽流がそう言って拳を下ろし、足速に帰って行く。
「先パイ達、かーっくいー♪栽流先パイだっけ?有名だよねっ。何だっけ…そ、風紀委員。性格はちょっといけ好かない感じだけどー」
後ろ姿が見えなくなり、切助が口を開いた。
「あいつも色々あるしな…嫌いなのは変わらないけど」
零太もそれに答えて呟く。
するとそこに、友莉葉が走って来た。
「零太…あれ?なんか栽流君も来てたって聞いたんだけど…。ん、この人…一年生?」
「そうでーす☆正解ピンポーン♪友莉葉先パイだよねっ。」
これ以上切助が喋ると話がややこしくなる。零太は彼を制し、事の始終を友莉葉に解説した。
「…その会議室、やっぱり行くの…?」
「ああ。放棄したら無戦勝された感じで悔しいしな」
止められるのは予測出来ていたが一応言って置いた。しかし、
返って来たのは予想を外れた答え。
「…無理はしないでね。本当は止めたいけど栽流君だし…
一応栽流君、3年生だから気をつけて」
友莉葉は、彼等に何が有ったのかを全て知っていたので止めなかった。それを聞き、零太は少し笑って言う。
「分かってる。絶対に負けねぇよ」
と、教室に戻った。
切助も戻り席に着くと黙っていたランザが彼に話し掛けて来た。
―気をつけて下さい、零太殿―\r
「お前まで心配してんのか。平気だよ」
―そうでは無くて…僕が言いたいのは、
彼は…
栽流殿は、デジログ使いのパートナーだと…―

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