猛「それにしてもなんか5位って…微妙やなぁ」
聖二の母親が去った後、猛が階段に寝転がって呟いた
――『理想通りの結果にならないってことは、何かが足りなかったってことや』――
拓「…俺らに足りんかったもんってなんやろ」
翼「足りんもん?何もないやろ」
猛「え?」
翼「お前ら知らんの?この大会、グランプリとったやつはデビューしちゃうねんで?」
全員「デビュー?!」
翼「そう。そしたらそれぞれの夢は叶わん。だから、これがこのバンド終わらせるのに最高の結果!理想通りの結果や!」――
***数日後
「寂しくなるねぇ」
光「はい…短い間でしたがお世話になりました」
職員室を出ると光希はもう一度教室を覗いた。
教室内に人影はなく、光希は少し肩を落とした。
猛達はすでに帰ってしまったらしい。
光希はそのまま学校を出た。
あの日から今日までの数日はあっという間だった。
毎日のように向かったスタジオも、もう行く必要はない。まるでそんな日々はなかったかのように時は過ぎようとしていた。
いつもの公園までやって来て光希は足をとめた。
ここともしばらくお別れ。
再び歩きだそうとした光希を誰かが呼びとめた