欲望という名のゲーム?44

矢口 沙緒  2010-07-08投稿
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「そうなのか、鹿島?」
「私はあの猫の名前の由来は、知らないのです。
ですが、今の孝子様のお話を聞いていて、十分に考えられる可能性だと思います」
「ねぇ、孝子さん。
この食堂にピカソの絵はあるの?」
友子が食堂に掛けられた絵を見回しながら聞く。
「そうねぇ、ここにはないわね」
「よし、ホールに行く。
孝子、お前も一緒に来てくれ」
そう言い残して、明彦が食堂を出た。
「僕達も行ったほうがよさそうだ。
鹿島さん、あなたにも来てもらいたい」
全員の見守るなかで、孝子はホールの絵を一枚一枚見て回った。
「このホールにも、ピカソの絵はないわね」
皆の期待とは裏腹に、孝子の答えは、呆気ないものだった。
「鹿島さん、絵が飾ってある所は、ほかにどこがある?」
喜久雄はこのために、鹿島の同行を求めたのだった。
「そうですねぇ…
図書室と応接室、それから二階の廊下と三階の廊下。
あとは三階の各部屋にもあったような…」
「あっ、雅則兄さんの部屋にもあった!」
友子が思い出す。
「なんだ、結局全部じゃないか」
一同はぞろぞろと列を作り、屋敷中を見て歩く事になった。
絵の知識がある者が孝子しかいないため、彼女は渋々協力した。
一階、二階、そして三階の廊下と各部屋を見て回り、残るは雅則の自室だけとなった。
そこにはリビングルームと書斎に、一枚づつの絵があった。
孝子が鑑定する。
「これも違うわね。
残念だけど」
「間違いないか?」
「間違いないわ。
今見た中に、ピカソの絵はないわね。
絵っていうのはね、たとえ模写でも、本来それを書いた画家のサインが入っているものなのよ。
サインも絵の一部だから」
「ということは、孝子の当てずっぽうが外れたって事よね」
深雪が言った。

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