「大型ショッピングセンターのように、グルメ、ファッション、ドラッグストアなど、バランスよくテナントを配置したらどうでしょう。私はバランスに注目して、街づくりを考えていきたいと思っています。」
そこに、後輩社員岡田が割って入った。
「それでは…逆効果の場合もありますよ。」
岡田は立ち上がって状況を説明した。
「大型ショッピングセンターでも、バランスを整えることは基本中の基本。ファッションが6割、生活雑貨が2割、その他2割。ですが、大型ショッピングセンターでも、『何を入居させるか』によって、運命が決まるものです。」
原田は、
「じゃあ…説明して。」
岡田は、大山とは別のショッピングセンターのフロアマップを皆に配った。
もちろん、河内にも。
「サンパーク谷塚。ここも同じく駅から1キロの所にある商業施設です。2006年にオープンし、当時は賑わっていました。が、今はスーパーがあるくらいなだけの、かなり空きテナントが目立つものとなってしまいました。これは、どういうことか分かりますよね?」
「はーい?」
手を挙げたのはみずきだ。「だってあそこは、知らないテナントばっかりだったから?」
「まあ、当たってます。ブランド力が高い店がほぼなかったんです。」
大山は、
「確かに…ブランド力も必要っちゃ必要ね。ありがとう。考えてみるわ。」
大山は、自分の席に戻った。