「君はクビだ」
突然の宣告だった。頭が真っ白になった。
ここはプロ野球九州地区リーグ略して「Kリーグ」その中でもほぼ毎年優勝をしている強豪「福岡ブラックキングス」の編成部長室。
ここで一人の若者が無情な宣告を突きつけられた。
若者の名前は「完風勝利(かんかぜ・かつとし)」プロ三年目の21歳。右投げ両打ち。ポジションはキャッチャー
「ちょ、ちょっと待ってください!編成部長、何でクビなんですか?」
「簡単なことだ。うちには君が必要なくなったからだ。」
「でも、オレ…いや、自分はまだ21ですよ。まだまだやれますって。」
「できるできないの問題じゃない。それに君は今まで二軍ですら満足な成績をあげられていないじゃないか。」
「そ、それは…」
勝利の言葉が詰まる。
こんなに惨めで虚しい想いをしたのは初めてかもしれない。無理もない、たった今職を失ったのだから。
活躍し続けなければ生き残れないプロの世界。ある程度覚悟はしていたつもりだった。しかしこんなにも早く戦力外通告とは…
そして気まずい沈黙が続くのである。