追悼3
パートナーとは、
このバンドの曲で
何が一番好きか、という
くだらない話を
した事があります。
全曲知っている訳では
ないのに。
二人とも、
『タイムマシン』
というピアノが
メインの曲になりました。
語りかけるような
口調で歌われる
『戻れるかな
タイムマシンのように
同じように笑えるか』
という歌詞が、
今では皮肉にも
心を引っ掻きます。
クリスマスイヴ。
何気なく開いた携帯
ニュースで、
ボーカルの死を
知りました。
元々のバンド名は、
元メンバーの親の
会社からとったそうです。
そのメンバーが
全て抜けて、ボーカル
一人になっても、
彼はバンドである事を
やめませんでした。
そんな彼に新しく
仲間が集い、
結果として、
『若者のすべて』や、
『パッションフルーツ』
のような名曲が
生まれました。
粘りの美学というと
言い過ぎでしょうか。
少なくとも俺は
言い過ぎとは思いません。
あきらめなかったから、
その『瞬間』が
あったのだから。
確実に一人の人間を、
震わせてくれたのだから。
今の世の中には、音楽が
溢れています。
ですが、正直、
本当にいい音楽
というのは、
必ずしもその量とは
イコールではないと
感じています。
ですが、感じ方は
人それぞれで、
十人十色。
俺はそれを批判したり、
否定できる立場では
ありません。
音楽について記す時、
俺は前向きな話しか
したくありません。
自信を持って言えます。
彼らの音楽は良かったと。
決してストレートな表現
の歌詞ではないから、
聞く人を選びます。
中には大変聞きづらい
リズムのものや、
退屈に思えるものも
あります。
でも、俺にはそのどれもが彼ららしさに富んでいて、
音楽性もブレがないと
思います。
そう感じているのは、
俺一人じゃない事を
信じています。
いや、分かっています。
彼らは愛されていたと。