――空港
黒「じゃあ光希、すまないが少しここで待っててもらえるかな」
光「はい」
椅子に腰掛け、光希は一人、周囲の人々を眺めていた。
今日は平日。皆は今頃授業を受けているだろう。
先生に叱られている翼。それに対して、嫌味をこぼす美弥。その様子に聖二はため息ついて、秋奈は無視。拓朗は多分、翼とまた言い合い始めてそう。
猛と波音は相変わらず一問一答を授業中まで繰り返してるだろうな。それで、慶太郎は…
「…つき」
慶太郎の声がする。
この声も遠くなるのか。
「光希!」
はっとして顔を上げる。
目の前で笑ってるのは、慶太郎。
光「…は?」
反射的に立ち上がる。
光「な…が、学校は?」
慶「んーサボり」
光「何で」
慶「このまま別れんのはやだったから。」
慶太郎の言葉が少し早口になる。
慶「お前、勘違いしてるやろ」
光「え?な、何が?」
頭の中で思い当たるものを探す。
慶「“すき”の答え」
いつか見た、あの慶太郎のまっすぐな目が自分をしっかり見つめている。
この目…どこで見たんやっけ