欲望という名のゲーム?51

矢口 沙緒  2010-07-11投稿
閲覧数[420] 良い投票[0] 悪い投票[0]




わざわざ三列にしてあるという事は、一列づつがひとつの区切りになるはずだ。
一列でひとつの言葉、あるいはひとつの意味になるはずだ。
もしそれが正しいとするなら、そして『東』『南』が想像通りに方角を示すとするなら、これに付随している『一萬』は、最も単純に解釈したらどうだろう?
これは『いち』つまり『位置』だ。
それなら意味が通る。
この一列目は『東南の位置』
よし、なかなかいいぞ!
なんとなく宝探しらしいじゃないか。
では、二列目はどうか?
ここでも彼は、前と同じ方法を取る事にした。
一列目が正しいと仮定して、それを二列目に当てはめる方法だ。
一列目の『一萬』が、漢数字の『一』にだけ意味があったように、この『八萬』『八萬』『四萬』も『八八四』だけが重要なのではないだろうかと。
そして、前列の『一』が単に『位置』とのゴロ合わせ的なものだとしたら、これもきっと同じようなものではないのか?
そう考えを進めていった時、彼は思わず叫び声を上げそうになった。
分かった!
分かったぞ!
しかも立派に意味の通るものになっている。
手が微かに震えた。
これは『はやし』だ。
この屋敷を取り巻く『林』のことなのだ。
ならば当然、次に続く『中』は『なか』と読むべきだ。
『林の中』
これが正解だ!
二列を続ければ、なお意味がはっきりとしてくる。
『東南の位置
 林の中 』
間違いない。
この屋敷の東南の林の中に、何かがある。
それは何か?
それが三列目の鳥の絵柄の牌だ。
明彦は直感的に、これには『鳥』に意味があるのだろうと感じていた。
だが、その『鳥』が何を示唆しているのかまでは分からない。
しかし、それは現場に行って調べればいいのだ。
特定の方角、特定の場所が分かった以上、ぐずぐずしてはいられない。
ここで明彦は立ち上がり、鹿島の部屋へと急いだ。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 矢口 沙緒 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]
関東近辺のお葬式
至急対応も可能!!


▲ページトップ