気まずい沈黙が続いた後編成部長室の電話が鳴り、部長が受話器を取る。
「はい、中川です。あっジェネラルマネージャーお疲れ様です。」
さっきまで偉そうにしていた編成部長の表情が一気に変わる。
まるで漫画の世界の腰巾着キャラの様だ。
「はい、彼ならちょうどここにいますが…」
どうやら電話の内容は勝利のことらしい。
「えっ?!それは本当ですか?!」
そう言うと急に編成部長の顔色が変わる。
「…分かりました。彼にはそう伝えておきます。失礼します。」
編成部長は受話器を置き、勝利に顔をしかめたように話す。
「命拾いしたな。」
勝利は疑問に思い
「どういう意味ですか?」と尋ねる。
「たった今、長崎ウイングスとの無償トレードが成立した。」
クビに動揺している勝利は、まだ理解できていない。
さらに部長は
「正確にはFAでの人的保障だ。そこで今回、君にはその人的保障としてウイングスに行ってもらうことになった。」
「トレードってことはオレまた野球出来るんですか?!」
「あぁ…そうだ。」
「やったー!!」
勝利の絶叫が編成部長室に響き渡った。