「おはようございます?」河内は元気よく出勤…あれ?
「…扉が…開かない?」
朝6時…なんですけど。
「え?うそ?早すぎ?」
それから2時間後…。
ようやく所長がやってきた。
「おう。早いな。」
「はい…?」
河内…どんだけだよ。
でも…大山に伝えたいという気持ちが溢れているのだ。この行動もしょうがない。
朝9時前、業務の準備をしていた大山に、河内は歩み寄った。
「大山さん…。」
「…何?今忙しいので、後にしてもらえる?」
その時、河内は今しかないと思った。
「僕は大丈夫ですから?」「急に何言ってるの?」
大山は顔をしかめる。まるでバカを見ているかの如く。
「…昨日、大山さんの過去を知りました…。新人さんの勝手な計画により、街づくりは大失敗してしまったって…。」
大山は、うつむいた。
「僕はあの新人みたいなことしません?」
「…。」
大山は、黙ってしまった。複雑な顔をしている。
「だから…僕を信じてください?」
大山は、かすかに頷いたようにも見えたが、顔や表情はいつもの、厳しいままだった。
河内は、その大山の背中を、じっと見つめていた。