「…とにかく、どうしたら篤史にきちんとお詫びできるか、考えよう。」
杉本が呼び掛けた。
「私達が篤史にしてしまったことは、何があっても許される事ではない。でも…皆もこのまま終わるのは、嫌だよな?」
全員が頷いた。こういう状況でも、クラスの心は一つだった。
「篤史も言ってたんだろ?やる前から諦めるのはもったいないって。だから…たとえ許されなくても、出来る限り謝罪しよう。そして、皆で笑顔で、卒業しよう。」
杉本組の面々は、篤史への謝罪の仕方を話し合った。
寄せ書き、招待状、様々な案が出されたが、
杉本組全員の意思を最も伝えられるであろうビデオレターと、修学旅行での集合写真、そして篤史が購買でよく買っていたラスクを気持ちとして差し入れることで一致した。
ビデオレター撮影当日、杉本組の面々が順番にカメラに向かってメッセージを述べた。
「篤史。篤史には、本当に酷いことをしてしまったな。俺達がろくに話も聞かないで一方的に責めるようなことしてしまって…もちろん許される事じゃないと思うし、許してくれなんて言わない。だけど…卒業式、篤史にも参加してほしい。
都合良すぎるのは分かってる。でも、俺達は38人揃って初めて杉本組だから…杉本組の大事なメンバーである篤史にも、参加してほしいんだ…待ってるぞ、篤史。」
一晃は涙を堪えながら思いを述べた。
「…篤史。ごめんね…私が、何も知らないくせにパッと見だけであんなメール送っちゃって…辛かったよね。私も…小さい頃は誤解されてバッシングされること、結構あった…なのに…自分がそういうことする側になっちゃって…
私のこと、怨んでるよね。もう、目茶苦茶バカにしていいよ。反論できる立場じゃないから…
ただ、ごめんねって言わせて…このままじゃ一生篤史に顔向け出来ないもん…
卒業式、来てね…待ってるから。」
恵梨は途中で堪え切れなくなり、泣いてしまった。
あの日以来胸に溜め込んできた罪悪感が、一気に溢れ出した。
そして、清香の順番になった。
清香はカメラの前に立ち、大きく深呼吸した。
続く