無償トレードが決まり今日が移籍先であるウイングスの本拠地長崎県に移る日だ。
手で運べない荷物はすでに業者に手配してもらい、いよいよ出発の準備だ。
「長崎かぁ…久しぶりだなぁ。」
勝利がこう呟くのには理由がある。
なぜならば勝利は長崎県の出身なのであるからだ。
地元でプレー出来る喜びも膨れるものだが、何せ今度の球団はリーグ屈指の弱小チーム、そんな弱小チームですら満足にプレーする事ができなかったら周囲から大恥をかくだけだ。
21歳の若者の背水の陣の決意はただ一つ「とにかく活躍する事だ。」
そんな決意を胸に勝利は博多駅に向かった。
駅に着き、長崎行きの電車に乗り込む。
約一時間半の小旅行だ。