「今晩は、諸君。
また諸君達と会えて嬉しいよ。
ところで今夜のヒントは気に入ってもらえたかな?
今日で三日目だからね。
少しは変わった事でもしないと、諸君達が飽きてしまってはいけないからね。
そんな訳で、ちょっとサプライズを用意したのだよ。
まぁ、一度くらいこんな酔狂もいいだろう。
それはヒントというよりも、非常に重要なパズルのピースのような物だから、決して忘れないようにしてくれたまえ。
もしこの時点で、白のクイーンを救い出した者がいたならば、その者にはそれの意味が分かるはずだ。
それと今夜はもうひとつ、おまけのヒントを出そう。
例の三毛猫のパブロだがね。
あの『パブロ』という名前は、『パブロ・ルイス・ピカソ』から取ったものなのだよ。
そうだよ、あの有名な画家のピカソだよ。
もちろん名前くらいは知っているだろう。
実はあの猫は私が拾ったものなのだが、最初私が拾った時には、箱の中に三匹の仔猫が入っていてね。
その日がちょうどピカソの命日にあたる日だったものだから、それでその三匹にそれぞれ、『パブロ』と『ルイス』そして『ピカソ』と命名したのだが、『ルイス』と『ピカソ』は、いつの間にかどこかへ行ってしまったのだよ。
結局ここに居着いたのは『パブロ』一匹だけだった。
どうかね、これで『パブロ』の由来は分かってもらえたかな?
そして、パブロが『三毛猫』だということも、しっかりと覚えておいて欲しいものだ。
それから…
あっ、そうそう!
これも言っておこう。
実は私は、あちこちに偽物の手掛かりをばらまいておいたよ。
この偽物の手掛かりを追って行っても、最後には行き止まりに突き当たる事になる。
場合によっては、非常に無駄な重労働をするはめになるかもしれない。
これは迷路と同じだよ。
正しい入り口は一つだけ。
あとの道は必ず行き止まりが待っている。
途中までは正しくても、どこかで枝道を間違えると、そこもまた行き止まりだ。
この迷路を抜ける方法はただひとつ。
順序通りに手掛かりを追っていく事だ。
手掛かりの意味を考え、それの示す方向へと進みたまえ。
そうすれば、手掛かりが君を出口へと導いてくれるはずだ。
では諸君。
このへんで私は休むとしよう。
明日の晩、またお会いしよう」
画面がプツンと音をたてて真っ暗になった。