私の手は、小刻みに震えていた―\r
震える右手を、左手で握り締めながら、その透明なファイルから、B5サイズのコピー用紙を取り出した。
そこには、詳細に、中川の生い立ち、経歴、家族や恋人しか知らない様な事まで、書かれていた。
1・1977年4月7日、中川雅樹氏の次男として、東京都港区にて出生。
2・1982年4月、慶徳学園大学附属幼稚園入園〜2004年3月、同大学医学部卒業。
3・2005年、医師免許取得。
4・2007年、株式会社博東堂入社。
1・父・中川雅樹、母・沙代子、兄・雅一の4人家族。
2・戸籍、実家の住所は、東京都世田谷区成城3ー5ー7
3・現在は、父・雅樹氏所有のマンションに単身居住。現住所は、東京都港区西麻布6ー29ー2パークウエスト西麻布2001号。
4・車は、2台所有。ベンツSLK(品川330さ・・11)、ポルシェカレラ911(品川300ま・・11)。
1・1994年7月、慶徳大学附属高等部在学中、婦女暴行容疑で、同級生ら3人と、7日間拘留。その後、不起訴相当。
2・2006年8月、義永繭子さんと婚約。半年後、婚約破棄。
3・現在は、航空会社勤務・金山麗華さんと婚約中。
4・他、東京女子学院高校2年生・浜田加那さん、主婦・松山由妃さん、横浜山手女子大学3回生・高田藍子さんなど複数人数と交際事実が有り。
以上。
そこに記されていた事は、淳が、中川の事を色々調べて貰ったと話していた時に聞いた内容とほぼ同一の物だった。
私は、初めて目にした。婚約者で有る、麗華も知らない様な事を、私は知ってしまったのだった。
何も、言葉を発する事が出来ずに、暫く、淳の顔を見詰めていた。淳は、安らかに眠っていた。
中川の調査結果を手渡され、初めてこの紙を見た淳は、何を思っただろう―\r
私は、しても意味の無い、無駄な想像をしていた。