――数ヶ月後 いつもの公園
「……」
“ここで何するん?”
“みっきーの歓迎会や!”
あれからどのくらい経ったっけ
俺は一人、ベンチに座っていつも通り賑やかな公園の様子を眺めた
バンド分裂、合宿に怪我、全国大会にでて、そして解散――
いろんなことがあったな
――“どうせお前は何かあったら簡単に辞めてしまえるんやろ?”――
あいつは何してるやろ
“そのうち嫌でもお前の耳に届くわ”
まあどっかで頑張ってるんやろな
“ええねん、いつか伝われば”
その“いつか”もきっともうすぐ――
時間はもう昼過ぎ
そろそろ行かんと、予定の新幹線に間に合わへん
俺は着慣れたパーカーの袖をまくってミサンガを確かめた
“お前も、それだけ覚悟して来いよ”
覚悟は、ある。
もう充分や
「そろそろ行くか」
立ち上がり、帽子を被りなおす
――タケは怒るかな
でも、また会えるから――
鞄をもちあげ、空を見上げる
頭上に広がる真っ青な空
――達兄、俺は夢を叶えるよ――
頭の中で止まないドラムの音
なんとなく笑って、俺も歩き出した――