四人は固唾を呑んだ。
「よぉ、タクト」
ウェイトは恐ろしい速さでタクトに向かってきた。
間一髪剣で受け止めた。
「どうしてだ!ウェイト!」
タクトにはウェイトの行動が全く理解できなかった。
「俺はやっと目が覚めたんだ。パラスの醜さにやっと気付いたんだ。お前だって本当はパラスが憎いだろうが!」
ウェイトはタクトの剣を弾き、首元に剣を突きつけた。
「お前も早く素直になれ。親父の事を忘れた訳じゃないだろう」
タクトの顔が一瞬曇った。
「お前の親父は誰に殺された?お前の母親は誰に殺された!ムシか?いや、違う!わざと到着を遅らせたパラスの奴らだろうが!」
「それは違う!」
「何が違う!無理をするな。母国を捨てることがそんなに怖いか?」
ウェイトの剣がタクトの首を少し切った。タクトの首から血が流れた。
タクトは悲しさと憎しみが籠った言葉を紡いだ。
「お前は、おかしい」
ウェイトの隙をついてパールがウェイトの腕を射ぬいた。
ウェイトは腕を押さえ、剣を落とした。
「タクトさん!」
フラットの声で我に返った。
ウェドたちは既に城に向かって走っていた。タクトも剣を拾い、三人を追った。
城の元に到着した四人は城の前に横たわる無数の死体に絶句した。
「なんなんだ・・・これが、オーケス?違う、僕の故郷は・・・」
タクトは膝をついて崩れ落ちた。
四人は掛ける言葉も見つからなかった。
そんなことには構わず、容赦なく城の中から出てきた兵士とムシが四人に向かってきた。
「とにかく逃げるぞ!」
走りながら、もう四人は訳が分からなくなっていた。分かろうともしたくなかった。
シャープはチェロの声で目が覚めた。
「生きてる・・・の?」
身体中が鈍い痛さに疼くが確かに生きていた。
「あ!ドローとパットさんは・・・」
動こうとしたが激痛がそれを止める。
「まだ、動かないで下さい」
シャープは僅かに首を動かした時、傍らにはドローがいた。ひどい傷を負っていた。
「シャープさん、その、ドローさんは・・・シャープさんを庇って・・・」
厭な胸騒ぎがした。
シャープは痛みを忘れて必死で首を横に降っていた。次にチェロの口から零れる言葉を聞くことがとてつもなく恐ろしかった。
チェロは苦しそうに伝えようとした。
「言わないで!」