プロローグ
『自殺だ行ってきてくれ』
今月で何件目だろうか…。
世間の人からは知らない世界……。
僕は街の人から見れば悪者を捕まえる
制服のお巡りさん
僕も人を守る仕事である警察官に小さな頃から憧れていた。
そして今は夢を叶えて交番で勤務している。
端から見れば夢を叶えて羨ましいのかも知れない………
けど、今の僕はそう思えない…
人を守りたい
それだけが僕の夢の全てだ
漠然した幼稚な理由だったと思う。
けど…………
現実は違う。
毎日同じ様な仕事の繰り返し。
そして、
毎日死んでいく人達
もう、何体の死体を見ただろう。
もう、何回も涙を見ただろう。
多分数え切れない程見たと思う。
最初は悲しかった。
遺族の人の悲しみも辛かった。
けど、それも慣れてしまった。
人の不幸に接するばかりで、悲しみの気持ちがなくってしまった。
もう、人の死も、一日の些細な出来事になってしまった。
無線の内容を聞くと女子高生が手首を切ったらしい。
僕は、若いのにバカだなぁと思う程度で一日に何度と使う無線機に向かって
『〇〇交番高井から本署、現在〇〇地内警ら中、先無線の自殺未遂事案傍受了解、これより現場臨場』
と報告し女子高生が自殺を行った現場に向かった。