しかし、その雪野の安堵はすぐにぶち壊されることになる。隣りのアホ(京都)によって……
「いやぁ〜ちょっとこちらの親分とお話がしたいな〜と、思いましてね」
京都がへらへらと笑いながら話すとヤ○ザさんのカンに障ったのか
「んだ!?このガキ?親方に話したいことだと?親方はお前みたいなガキに会う暇はないんだよ!!」
そう言ってドアを閉めようとした瞬間だった
「いや〜だから急な要件なのでその親方に合わせてって言っているんだよ!」
「(!!?)」
雪野は声にならない悲鳴を上げた。
何と、背中を向けたヤ○ザさんを思いっきり蹴り飛ばしたのだ。ヤ○ザさんは不意打ちを食らって気絶していた。吹っ飛ばしてドアが開きっぱなしになっていたので屋敷の中に入る京都に唖然として外に取り残された雪野はドアの陰に隠れた。
派手な物音が鳴ったので屋敷から次々とヤ○ザさんが現れてきた。
「どうしたって……おい!将太!!いったい誰にやられた!」
現れたヤ○ザさんは、京都が気絶させた将太という人物の近くに寄った。そして屋敷のど真ん中で突っ立っている京都に一斉に目が向けられた。
「(いやぁぁぁ)」
雪野は両手を頬に当ててムンクポーズで絶望した。しかし、優より怖いヤ○ザさんに見られても京都は顔色変えずに
「いやぁ〜そこの人が親方に合わせてと、言っても合わせてくれなかったから〜」
相変わらずヘラヘラとして馬鹿正直に自分がやったと話すとブチ切れたヤ○ザさんたちが一斉にドスを片手に襲いかかってきた。雪野は片隅で隠れながら
「(鏡君のバカ〜殺されるわよ)」
と、絶望していたが雪野の想像どおりにはならなかった。
優が太鼓判を押すのも納得いくぐらい京都は強かった。相手は五〜六人だったが京都は羽みたいにヒラヒラと避けていた。そして警官を気絶させたみたいにあっという間に次々と倒して行った。
「(鏡君ってやっぱりすごい……あんな怖い人たちを次々と倒していくなんて……)」
雪野が感心したのもつかの間、出てきたヤ○ザさんを全員倒すと屋敷から新しいヤ○ザさんが現れた。
「も〜俺はただ親分と話がしたいだけなのに……」
京都は肩をストンと落とし文句を言いながらため息をつく
「(話をしたいだけなら穏便に事を運びなさいよ!)」