「はい。誕生日おめでと」
「あ、ありがとう」
最近、僕に対して冷たくなっている妻の冬美からプレゼントをもらった。
意外と重い。
「……何これ?」
「とにかく開けてみて」
言われるがままに僕は箱を開けてみた。プレゼントは、紙に包まれていた。しかし店で包装したにしては乱雑だった。
「これ、どこで買ったの?」
「それは秘密。でも結構大変だったのよ。これかってくるの」
「へ〜」
妻から誕プレを貰うなんて何年ぶりだろうか。
適当な返事をしつつも僕は内心ドキドキしていた。
期待を膨らませながら、僕は紙を広げて中身を見た。それとほぼ同時にプレゼントを放り投げ、絶叫した。
「うわああああああああっ!」
「どうしたの? あなたの大好きなものでしょ?」
それは……僕の浮気相手――美里の生首だった。可愛らしかった顔は恐怖に染まり、自分の血を浴びていた。
腰が抜けて、その場にへたりこんでしまった。思うように声も出せない。
「あ……あ……」
「気に入ってくれないの? なら私が貰って家に飾って置くわ。……そうだ。ついでにあなたのも狩って一緒に飾ってあげる」
愛くるしい笑顔でそう言う彼女の手には、いつの間にか血の着いた巨大な鎌が握られていた。
「あ……ああ……」
笑みを浮かべながら彼女が近づいてくる。僕は後退りしながら、ただただ首を振るだけだった。
身体中から冷や汗が滲み出た。
目の前の景色が歪んだ。
その時ようやく自分が涙を流しているのに気づいた。
「や、やめてくれ……。許して……くれ……」
恐怖に戦く喉から、ようやくまともな声が出た。が、しかし、どうにもならなかった。
次の瞬間、涙で醜く歪んだ彼女の腕が大きな鉈を振り上げた。