ウイングボーイズ〜未来に羽ばたく男たち〜 8

長崎サムライ  2010-07-26投稿
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タクシーを見送った後、いよいよウイングスの球団事務所に入る。

中に入ると、ごくふつうの会社のロビーと何ら変わらない。

とりあえず勝利は受付嬢の所へ行き、尋ねる。

「あの〜私は、ブラックキングスから移籍してきた完風と申しますが、球団の代表の方はいらっしゃいますか?」

その問いに受付嬢は

「どういったご用件でしょうか?」

と言い

「来シーズンからお世話になるので、ご挨拶にと伺ったのですが…」

「少々お待ちください。」

受付嬢が内線を使い、球団代表に問い合わせてみる。

「はい、かしこまりました。」

受付嬢が内線の受話器を置き、

「では、社長室にご案内いたしますので、お荷物をこちらでお預かりいたします。」

勝利は荷物を預け、案内する社員についていく。
エレベーターに乗り、最上階に着いたあと、いよいよ球団社長室に向かう。

「こちらが社長になります。」

と社員はそういった後に社長室をノックし、勝利は社員に続いて中に入る。

社長室の中にはメガネをかけ、年を取った白髪の男が座っていた。

「社長、完風選手をお連れしました。」

「うん、ご苦労、下がってよいぞ。」

社長がそう言うと案内をした社員は社長室を出て行った。

「あっ、ブラックキングスから移籍してきました完風勝利と申します。」
そう言うと社長は

「あぁ、遠い所からご苦労さん。まぁそこに掛けたまえ。」

「し、失礼します。」

勝利は緊張しているようだ。

すると社長はティーカップを2つ持ち、

「君は紅茶は好きかね?」

「あ、はい。好きです。」

「ダージリンとアールグレイがあるが、どちらを飲むかね?」

「ダ、ダージリンでお願いします。」

ダージリンがどういうのかも知らず、勝利は答えた。

「ダージリンね。」

そう言うと社長は紅茶を煎れ始めた。

「いや〜、こうして自慢の紅茶を煎れるのが、私の唯一の趣味でね。」

「あぁ、そうなんですか…。」

「しかし最近客人が来んもんだから、自慢することがないんだ。」

「はぁ…。」

今までと違った雰囲気が勝利を包み込むのであった。

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