欲望という名のゲーム?81

矢口 沙緒  2010-07-26投稿
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そうだ、あの不自然な言動は、その結果なのだ。
明彦は地下のワイン倉庫へと降りて行った。
ここにこそ、最も重要な手掛かりがあるはずだ。
明彦はこの屋敷とほぼ同じだけの広さを持つ倉庫の中を、必死で歩き回った。
棚から棚へと目を移し、何かを探し求めた。
目的がはっきりしていれば、まだ探しようもあるのだ。
だが、今はその目的もなく、ただあてもなくワインの迷宮をさ迷っていた。
「これだ!」
明彦は思わず声を上げた。
彼が立ち止まった棚の一番下の列に、ラベルに猫の絵が描かれているワインが、ずらっと並んでいたのだ。
ついに『猫』を発見した!
彼はその一本を取り出した。
「ん?」
何か妙な感じがして、彼はラベルをじっくりと見た。
そして、その隣のボトルも、そのまた隣のボトルも見た。
「ちっくしょうめ!
これも偽の手掛かりか!」
どのワインのラベルにも、三毛猫は一匹も描かれていなかった。
ひとつ残らず黒猫の絵だった。


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