「…」
メディナはうっすらと目を開けて、暗闇に包まれた部屋を見つめた。
―またこの夢か…。
うんざりしたような表情で寝返りをうちながら、髪を掻き上げる。
―ザックがあんな事を聞いたから…かしら?
きっとそうね。彼女はそう呟いて、目をつぶった。
―私が、必ず…!
彼女はそう心の中で強く言い放つと、自らの意識を静かに闇の中へと落としていった。
カシアス王国の西にある城「ルディウス」。
そこにはエリック王の叔父であるサクリス公がいた。
そのサクリスの前に一人の若者が畏まり、手紙を差し出している。
「サイファ殿が監禁されているだと?」
サクリスは眉を寄せて、手紙を受け取った。
「どうしてそんな事になったのだ?」
「…それは…」
若者は頭を垂れながら、サイファが保養所建設予算を凍結した事などを詳しく説明した。
「保養所建設は私も聞いている」
サクリスは難しい顔で首を横に振ると、
「だが、それは我が軍の保養を目的としたものであろう?何故その予算を凍結する必要があるのだ?」
と、尋ねた。
「…その理由は、お手紙に書かれております」
若者はそう答えて、手紙を読むように促した。
「ふむ…」
サクリスは手紙を開けて、じっくりと読み進めた。