奈央と出会えたから。<408>

麻呂  2010-07-28投稿
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聖人とあたしがユカの家に招待されたのは、


森宮親子が消息不明となってすぐの事だった。


そして、


教育長さんが、教育長を辞任したと知ったのも、


その数日前、


新聞の片隅の小さな記事として取り上げられたからだった。


『やぁ。聖人君に木下さん。

いつも、うちのわがまま娘がお世話になってます。』



ユカのお父さんは、一流企業の役員だ。

あたしも、今日初めて会うんだケド、


第一印象は――


なんか、


いかにもインテリっぽいカンジ。



『お久しぶりっス!!

オジサン。』



『初めまして。

木下 奈央です。

あ‥あたしこそ‥‥いつもユカにお世話になってましてっっ。』



聖人は、ユカと幼なじみで、


つい最近までは、ご近所同士だったワケで。



『なぁに、奈央ったら。緊張しなくていいよォ!!

今日は、お父さんの自慢の手料理の数々を、お2人に御堪能して頂きたいと思いまぁ〜すっっ!!』


テーブルの上には、高価そうな食器に綺麗に盛り付けられたお料理。


ワイングラスの代わりにジュースのグラス。


まるで高級レストランみたいに、


綺麗にテーブルにセッティングされたナイフとフォーク。



『すげぇ〜!!

美味そ〜!!』



『ま‥聖人ったら!!』



広いお部屋に案内された瞬間から、


何もかもが、驚きの連続だった。


ユカのお家が、お金持ちだってコトは分かっていたケド、


これほどまでとは思ってなかったんだ。

お料理は、とても美味しくて、美味しくて、


ほっぺが落ちそうだった。



『ところで聖人君。
体の方は大丈夫なのかい?!』



ユカのお父さんの言葉に、


あたしはドキリとした。



あたしよりも早く、聖人に出会い、


聖人の小さな頃から知っている筈だからだ。



『あぁ。全然大丈夫っスよ。』



そう言うだろうとは思ったケド、


あたしも、


聖人には、もっと体を大切にしてほしいっていつも思ってる。



聖人の言葉に小さくうなずき、


ワイングラスを手に持つと、


ユカのお父さんは、静かに語り始めた。

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