あれだけ痛かった右腕が、まるで嘘のように治っていた。
むしろ、前より丈夫になった気さえする。
「たった一週間で・・・」「違うわ。二日目の時点で、もう腕は治ってたわ。」彩実は言った。
信じられない・・・その一言しか頭に浮かばなかった。
「あら・・・まだ『信じられない』って顔してるわね。」
「え・・・あ、いや、まあ・・・」
龍一は答えをぼかした。
腕が早く治ったからと言っても、強くなったとゆう実感が全く沸かない。
「じゃあ、試してみる?」
カチャッ
「・・・・・・え?」
彩実はおもむろに『それ』を白衣の内側から取り出すと、龍一の顔へまっすぐ向けた。
『銃口』を・・・
━━━ガァンッ!!!━━
銃口と顔との距離、約1m
「うおわぁっ!!」
べシィッ!
チュン!
龍一は咄嗟に避けながら、まっすぐ飛んでくる弾丸を
・・・平手ではたいた。
「な・・・」
あまりにもいきなりの出来事で、自分でも何をしたか解らなかった。
壁には、軌道の反れた弾の跡が残っている・・・。
「ごらんのとおりよ。」
彩実は悪怯れた様子もなく微笑み、銃口から上る煙をフッと吹き消した。