「桃華あ。焼き鳥があるよ」
「わあ。いい匂い。食べてこうよ」
「うん!」
二人は焼き鳥屋台の前まで走る。
「おっお兄ちゃん!」
「もっ桃華!」
なんと焼き鳥を焼いていたのは、五年前家出した兄、パイ太郎であった。
とそのとき。
どおおおおおおおん。
向こうで爆発音。自爆テロだ。
「見に行かなくちゃ!」
パイ太郎は屋台を放って走り出した。
桃華と美代子もあとを追った。
「はあはあはあ」
「いた!」
美代子が転んだ。
「美代子ちゃん、大丈夫??」
「痛いよう。うわあああん。うわあああん」
美代子がものすごい声で泣くので桃華は困ってしまう。
「どうしよう。どうしよう」
とそのときだ。
向こうから誰か飛んでくる。マントをしてる。
正義の味方に違いない!
「病院に連れていってくれるかも」
その男は二人の前に着地した。
すると、倒れる美代子の腹を蹴り始めた。
「うははは。うははははは」
「やめてよう。やめてよう」
「わははは。わははははは」
「やめてよう。やめてよう」
夕暮れである。カラスがかあかあ鳴いている。