ねぇ…大好きなのに。

春樹  2010-07-30投稿
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父親へのメール。

「亜弥妊娠したんだけど、実家帰って良い?
春樹は産んじゃダメって言ってるけど、亜弥は産みたいから、実家帰って、赤ちゃん産んで良い?」

また、両親を傷付けた。

私は本当に最低な人間だと思った。

それでも、もう両親に頼るしかなかった。

少しすると、父親から返信が来た。

「家もお金無いから、出産費用は出してあげれないけど、帰って来るのは良いよ」

父親は、いつも私を攻めたり、問い詰めたりしない。

その日の夜、母親からメールが来た。

「お父さんから聞いたんだけど本当なの?お母さんは、亜弥がそうしたいなら、協力するよ」

一人で悩み、不安だった気持ちが、少し楽になった気がした。

妊娠に気付いてから、一ヶ月。

もうすぐ、二月が終ろうとしていた。

三月になったら、実家に帰る予定だった。

その日の夕方、母親から電話が来た。

私が電話に出ると、母親がいきなり質問をしてきた。

「本当に産むの?」

「うん」

一瞬戸惑ったが、私は即答した。

「世の中には、産まないっていう選択肢もあるんだよ。お金はどうするの?
家も今、お兄ちゃんも弟も働いてないから、余裕ないし、産まない方が、亜弥の為って事もあるんだよ。
子育てって、本当に大変なんだよ。
とにかく、帰ってきたら、働いてくれないと、家も余裕ないから」

母親が心配しているのは、解ってた。

でも、もう聞きたくなかった。

「いらない」

「産むな」

「産まないほうが良い」

誰も喜んでくれない私の妊娠。

自分が悪い事は解ってる。

私は、実家に帰るのを辞めた。

そして、妊娠している事を隠したまま、バイトを探した。




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