第十五話 味方か敵か
「「杉本 冬馬!!」」
京都と雪野は杉本を見るとすぐに数歩下がって身構えた。逃げたいところだが仲間と連絡を取っているのか分からないので停止していた方が身のためなのだ。しかし、先ほど警察が虎鬼門に来たのになぜ杉本がこんな……人気のない田園地帯にいるのだろうか?急な展開に二人は思考を巡らせた。そんな二人を前に杉本は
「!?何故僕の名前を………!そうか、僕ら(警察)の目を盗んでまた安井君の家に行ったんだね。やはり安井君は君らの味方だったのか」杉本にとっても知立高校に単独で調査に向かおうとしている途中で、急にバス停の下から京都と雪野が現れたことは驚いたが、それよりも自分の事を知っていることに驚いたが、すぐに状況を理解した。やはり杉本は経歴どおりのエリートだ。急な出来事にも冷静に状況分析をした。
「せっかく警察から逃げ出したのに……」
雪野が不安そうな声を出して京都の後ろに隠れた。
「疲れて本調子じゃないけどあいつを倒すしかないか!」
京都が構えると杉本は昨日の廃墟にいた時と優の言葉を思い出したのか
「ちょちょっと待ってくれ」
杉本は自分も同じ目に遭うのではないのかと思って少し声を張り上げた。
「つまり、あんたは俺らを今は捕まえる気がないって言いたいのか?」
京都と雪野はあれから十五分たった今でも身構えたままで杉本の話を聞いていた。杉本が話すには京都達の行動に疑問を持ってあれから単独行動をしていたこと。もちろん優と会ったことも包み隠さずに……その話を聞いて杉本を完全に信用したわけではないが最初よりも少しは警戒を解いた。
その理由として杉本が連絡手段である携帯・無線等を京都と雪野の前に置いたばかりか拳銃と警棒を地面に置いたからだ。それと、杉本が一人であると分かったからだ。
「そうだ。君たちに疑問がある。なぜ君たちは昨日の廃墟のときに拳銃を使わずに適当にあしらった武器を使ったのだい?」
杉本がそう質問すると二人は急に怒って
「決まっているだろ!!」
「私が犯人じゃないからに決まっているでしょ!」
二人の剣幕に杉本が思わず後ずさりしてしまった。二人の顔は?何故自分たちがいきなり犯人にならないといけないんだ?と言わんばかりであった。