欲望という名のゲーム?88

矢口 沙緒  2010-08-01投稿
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第六章

団結という名の終盤戦



     1

夕食がいつもの時間に始まり、料理は相変わらず素晴らしいものばかりだった。
食事の終わりには、すっかり恒例となってしまったアイスクリームのデザートを、牧野自身が孝子の所に運んできた。
牧野はいつの間にか、このアイスクリームのデザートに特別な思い入れを感じ始めていた。
「本日のアイスクリームは、少し変わった物をご用意させていただきました。
アイスクリーム・ビスケットでございます」
「あら、アイスクリームのサンドイッチ?」
孝子が不思議そうに皿を覗き込んだ。
牧野が運んできた皿の上には、二枚の四角いビスケットにサンドイッチにされたアイスクリームが乗っていた。
「昔、イギリスで初めてアイスクリームが街頭で販売されましたおり、まだ現在のようなアイスクリーム用のコーンがありませんでした。
当時、公園や街角で売られていたアイスクリームは、このようにビスケットに挟んだ物だったのです。
たまにはこのような物もいかがかと思いまして…」
「美味しい!
ビスケットに、ちょっとだけ塩味を利かせたところはさすがね。
もうひとつない?」
「すぐにお持ちいたします」
牧野は満足そうな表情で、厨房に戻って行った。
その頃になって、これも恒例の鹿島の入場となる。
彼は簡単な挨拶を済ますと、すぐにビデオテープのセットを始めた。
テレビの画面が明るくなり、雅則の陽気そうな笑顔が映った。
画面の中の雅則の前に、四本のビデオテープが積んである。
「諸君、今晩は。
食後のひとときを、また諸君達と過ごすことにしよう。
どうかね私のこのゲームは?
少し難しすぎるかな?
いや、決してそんな事はないはずだ。
諸君達の明晰な頭脳と、そして的確な判断力があれば、それほど難しくはないと思っているよ。
今日で五日目が終わるわけだから、残すところあと二日ということだね。
そして、私のこの夜の挨拶も、このテープで最後となる。
だがね、実はヒントはもうないのだよ。
昨夜のテープまでで、このゲームの全てのヒントを出してしまったのだ。
だから、今夜は少し趣向を変えて、今までの総まとめをしてみようと思う。
つまりだ、言うなればヒントの総集編ということになるかな。
では、さっそく始めよう」



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