リレー小説「王国の掟」第六話〜麻呂〜

麻呂  2010-08-01投稿
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王様の、その真剣な表情とまなざしは、サラにとって、ある事を決意させるほど、熱く、情熱的な物でした。


「私は今から、王様に真実を話す事にします。いえ…いずれは話さなくても分かる時が来るのだけれど…。」


カーテンの隙間から朝日が差し込み、サラのブロンドヘアーが、一層美しく照らし出されています。

ベッドの上に座るサラの隣に王様は、静かに腰を下ろしました。


「その真実って言うのは何?!」


王様の言葉を受け、サラは、静かにゆっくりと話し始めました。


「王様のお父上は、300年に渡って栄えた、ギルド帝国のラドルド国王と言う方です。

彼は独裁者で、その暴君ぶりは、とどまる所を知らず、どんどんエスカレートしてゆきました。

辛い拷問を強いられた人々の中には、あまりの辛さに、自ら命を絶つ者も数多くいたそうです。

そんなラドルド国王を、神は決して許しませんでした。

ラドルド一族を滅亡させるとおっしゃったのです。

神は、まず始めに、ラドルド国王をチリに変え、川に流してしまいました。

次に王妃と、生まれたばかりの赤ん坊をと考えたのですが、その時、神は思いとどまりました。

いえ、神には出来なかったのです。

なぜなら――

神にもまた、生まれたばかりの赤ん坊がいたからです。

神は赤ん坊の母親に言いました。

《お前達の命を助けてやる。

その代わり、お前達2人は、生物のいない孤島に住み、

お前は、この赤ん坊の母親としてではなく、乳母として接しなさい。

そして、どんな事があっても、この赤ん坊の母親だと名乗る事は許さぬ。

そして、赤ん坊が15歳になった時、

お前は赤ん坊のもとから離れ去るのだ。
それが、お前への命令だ。

赤ん坊は、お前と離れた後、1人でこの孤島で生き、新たなる国を造るのだ。

それが、赤ん坊への命令だ。》

と――」


サラの話を聞く王様の表情は、どんどん険しさを増してゆきました。


「その母親が、つい2週間前まで、僕を育ててくれた、お付きの乳母のクルエラで、赤ん坊が僕――
そして、神の子供と言うのは――」


王様とサラの間に緊張した空気が流れ、王様の額には、微かに汗さえ見えます。

「私よ。そして、たくさんの人達は、神の国から呼んだのよ。王様の力になってくれると思うわ。」



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