王様の、その真剣な表情とまなざしは、サラにとって、ある事を決意させるほど、熱く、情熱的な物でした。
「私は今から、王様に真実を話す事にします。いえ…いずれは話さなくても分かる時が来るのだけれど…。」
カーテンの隙間から朝日が差し込み、サラのブロンドヘアーが、一層美しく照らし出されています。
ベッドの上に座るサラの隣に王様は、静かに腰を下ろしました。
「その真実って言うのは何?!」
王様の言葉を受け、サラは、静かにゆっくりと話し始めました。
「王様のお父上は、300年に渡って栄えた、ギルド帝国のラドルド国王と言う方です。
彼は独裁者で、その暴君ぶりは、とどまる所を知らず、どんどんエスカレートしてゆきました。
辛い拷問を強いられた人々の中には、あまりの辛さに、自ら命を絶つ者も数多くいたそうです。
そんなラドルド国王を、神は決して許しませんでした。
ラドルド一族を滅亡させるとおっしゃったのです。
神は、まず始めに、ラドルド国王をチリに変え、川に流してしまいました。
次に王妃と、生まれたばかりの赤ん坊をと考えたのですが、その時、神は思いとどまりました。
いえ、神には出来なかったのです。
なぜなら――
神にもまた、生まれたばかりの赤ん坊がいたからです。
神は赤ん坊の母親に言いました。
《お前達の命を助けてやる。
その代わり、お前達2人は、生物のいない孤島に住み、
お前は、この赤ん坊の母親としてではなく、乳母として接しなさい。
そして、どんな事があっても、この赤ん坊の母親だと名乗る事は許さぬ。
そして、赤ん坊が15歳になった時、
お前は赤ん坊のもとから離れ去るのだ。
それが、お前への命令だ。
赤ん坊は、お前と離れた後、1人でこの孤島で生き、新たなる国を造るのだ。
それが、赤ん坊への命令だ。》
と――」
サラの話を聞く王様の表情は、どんどん険しさを増してゆきました。
「その母親が、つい2週間前まで、僕を育ててくれた、お付きの乳母のクルエラで、赤ん坊が僕――
そして、神の子供と言うのは――」
王様とサラの間に緊張した空気が流れ、王様の額には、微かに汗さえ見えます。
「私よ。そして、たくさんの人達は、神の国から呼んだのよ。王様の力になってくれると思うわ。」