『ろう学校入学案内』と書かれてある。
「アキ、まさか…」
サユの顔が曇った。
『別に、行きたいわけじゃないんだけど、先生から勧められてる。こっちの方が、授業の内容も分かりやすくなるし、耳が聞こえない人専用の高校だから、手厚く支えてくれるらしいの。』
すると、呼んだわけでもないのに、ヒロがそのパンフレットを見てきた。
「…ろう学校について?」周りに聞こえないよう、小さな声で言った。
「アキちゃん、コレ…。」「私が説明する。」
サユは、アキの今の心情を交えて話し始めた。
「別に、ろう学校は行きたいわけじゃないみたい。でも、ろう学校の方が、授業の内容も分かりやすくなるし、先生から勧められているらしいのよ。」
ヒロは、心配そうな顔をした。そして、アキに尋ねてみた。
「このことは誰が知ってるの?」
すると、ノートを取り出して、書き始めた。
『カズヒロと、サユと、そしてヒロ。』
「そっか。」
ヒロの顔が曇りはじめた。「俺は、アキちゃん、ろう学校に行かなくていいと思う。」
『?』
「カズヒロくんと離れちゃうんだし。」
「バカ。変なこと言わないでよアキに。」
アキは、複雑な表情を浮かべていた。
「私も、アキがいなくなると寂しいな…。」
『そうだよね。なんか先生は、私のこと、障害者として見ているようで、ムカつくんだよね…。』
アキの目から、涙があふれてきた。
『私って…障害者なの?』友達のサユにも、涙が一筋、ほおを伝った。