これ…罠だったんだ…。
アキは、逃げようとした。しかし、長い髪を掴まれた。
「こっち来ようか。」
体育館の裏。
アキはまず、突き飛ばされた。
「耳が聞こえねーくせに調子乗りやがって…ムカつくんだよ!」
アズサの目は血走っていた。
すると、1人の女子が、ノートを取り出し
「ねぇこの言葉、ノートに書いてあげようよ。」
「いいねぇ〜。」
アズサは、さっき言った言葉をノートに書いて、アキに見せつけた。
『耳が聞こえねーくせに調子乗りやがって…ムカつくんだよ。』
…ムカつくんだよ。
アキの目は、潤み始めていた。
だけど、絶対にこいつ達の前では泣きたくない。
アキは、アズサを睨みつけた。
「何その目?」
何もしゃべらず、アズサを突き飛ばした。
「何すんだよ!」
…負けたくない。
こんな奴なんかに…。
しばらくもめてるうちに、先生がやってきた。
「何してるの!授業中よ!」
その声を聞いたアズサは、一目散に逃げていった。
アキは、耳が聞こえないので、何が何だか分からず、あたふたしていた。
あたふたしているうちに、先生に捕まった。
「何してたの。」
『私は…私は悪くないんです…。』
「分かってる。ちょっと来なさい。」