しかし、何と言ってもサラは神の子供です。
王様が、皆に信頼される立派な王様になり、幸せな王国を築くまでを、
見届けなければならない使命があるのです。
自分は15歳になったら、王様の元へ行かなければならない事を、
サラは、小さな頃から神に聞かされ続けてきましたから、
王様への、わざと冷たく突き放す様な態度も、
“平和になる掟”を作ろうと宣言した王様に対して、素敵と喜ぶ姿も、
全ては、自分の使命を達成する為の理由に過ぎなかったのです。
その時、王様の宣言を聞いた人々の中の1人の、初老の男が言いました。
「笑顔で溢れる国にしたい?!
こんな何も無いところで?!
王様。私達は、お父上のラドルド国王の血を受け継ぐあなたが、
どの様な方法で、その様な素晴らしい王国を築き上げようとしていらっしゃるのか、
大変興味があります。」
王様は、男の言葉に満面の笑みを見せ、握手を求め、手を差し出しました。
サラは、暖かく2人を見守っています。
2人は互いに意気投合し、
大勢の人々は今、
ここにいる王様の宣言に、感動、共感し、
精一杯の力で協力する事を誓いました。
王様もまた、一瞬にして、自分にはカリスマ性がある事を自覚したのでした。