「・・涙??」
「うん。じいの所へ行きましょ」
「分かった」
水無月は二つのカップをキッチンへ置き、奥の部屋へと入った。クローゼットから黒いマントを取りだし、服の上に来て黒い傘を持ち、部屋を出て、睦月と共に家を出た。
雨が傘に当たり、音を遮る。睦月と水無月は小走りで、街の外れにある小さな小屋へと走った。フードを被り傘を閉じてドアを叩くと、ゆっくりとドアが開き水無月と睦月は傘を閉じ、小屋の中へと入って行った。
「おはよう、じい」
「おお、今日も元気かい??」
「うん、元気だよじいちゃん」
「今日も街の人には見られていないかい??」
「大丈夫。見られていたら無傷では無いもの」
じいは、二人の手をそっと握った。
「・・お前達は神の力を持っている。皆はそれに嫉妬しているのだよ」
「ありがとう」
「ここでなら好きなだけ二十四気達を解放しておやり」
「うん」
水無月はマントから首にかけたペンダントを取りだした。
「天理-天来-天命。二十四気・・小暑。大暑」
水無月が言霊を唱えると、手の甲に「水無月」と文字が浮かび上がった。すると手の甲の文字から光る二つの玉が飛び出した。
文字から出て来た二人は、掌に乗るほどの小ささで、まるで妖精のようだった。
「じゃあ僕も」
睦月もマントからペンダントを取りだし言霊を唱えた。
「天理-天来-天命。二十四気・・立春(リッシュン)。雨水(ウスイ)」
睦月の手の甲にも「睦月」と文字が浮かび、二人の妖精が出て来た。
「早速だけど、小暑、大暑!!僕等に教えて、涙が枯れるって何??」
「それを知っているのは俺や、小暑だけじゃ無い。立春も雨水も知っている」
「お前達も知ってたのか!?」
「うん、知ってたよ・・ね、雨水」
「ああ、きっと二十四気全員が気づいている」
「じゃあ、もう少し詳しく教えてよ」
「僕等にも分からない」
「小暑??」
小暑は水無月の肩に乗り不安げな顔をしている。
「どうゆう意味なの??」
「何かが来るんだ」
「何か??」
「うん。遠くから何かが近づいて来る」
「遠くって??」
「ずっと・・ずっと・・遠くだよ」
「そいつが来たらどうなるの??」
「涙が枯れるよ」