北側の小さな窓が
僅かに陽射しを集め始める午前5時に
私は幸せな夢を見るのです
互いの意思が
元通りに通じ
解り合えることができても
目を覚ませば
それは現実ではないことに気付くのです
その度に
落ちて
落ちて
このまま目を覚まさなければ
気付くこともなかったのにと
私は
落ちて
落ちて
また暗い海の底で
深海魚のように
身を沈めるのです
まるで
その異形な姿でしか
呼気をとれぬように
静かに
暗い海の底で息を潜めるのです
もしも
この姿を維持できぬのなら
この暗い海の底で
窒息してしまうから
私はまた
取り繕うように
姿を変えて
貴女の帰りを待ち続けるのです
例え
二度と気付いて貰えなくても
私はまた
忘れぬように息を潜めて
貴女の帰りを待ち続けるのです
例え
二度と愛されなくても
例え
貴女が私の姿に
気付けなくても
私はこの暗い海の底で
醜い姿を曝し
待ち続けるのです