「何してるの。アキ。」
アキは後ずさりした。
カズヒロも後ろを振り返った。
『お母さん…?』
「えっ…お母さん?」
カズヒロは急にかしこまって、挨拶した。
「こんなにお母さんを心配させといて…サユちゃんにもあんな心配させるようなメールしといて…アキは何してるの?」
『…。』
アキは黙っていた。
その態度に耐えきれなかったお母さんは、アキにビンタした。
「どれだけ心配したと思ってるのよ!やっと見つけたと思ったら、キスしてて…。」
「お母さん、アキさんは、悪くないんです。」
お母さんの怒りは止まらない。
「…あなた、名前は?」
『この人、カズヒロくん。私を助けてくれた人。』
お母さんの頭が混乱した。「…助けた?」
『後で話すよ。』
お母さんは、カズヒロを睨みつけた。
「助けたことには礼を言うわ。ありがとう。でも、アキをこれ以上あなたに会わせることはできない。」
「…え?」
「私たちを…騙そうとしてた?」
「お母さん、僕はただアキさんを…。」
カズヒロの必死の訴えも、無に等しかった。
キスの光景が、お母さん的には許せなかったようだ。「とにかく、もう会わないで下さい。こんな夜遅くまで、アキを遊ばせる訳にはいかないの。」
カズヒロは、俯いてしまった。
「アキ。先に家帰ってなさい。」
お母さんはアキを強引に帰らせた。
そしてカズヒロに、
「ちょっと話したいことがあるの。」