…近くの公園。
「アキ、耳が聞こえないのは、知ってるよね?」
カズヒロは頷いた。
「アキが…ろう学校入学を先生に勧められてることは知ってる?」
「はい。知ってます。」
「あの…申し訳ないけど、あなたには失望したわ。」「えっ…。」
「私、考えが変わった。アキを、ろう学校へ入学させるわ。」
カズヒロの顔が青ざめていく。
お母さんまでに反対されたら、ろう学校の問題は一気に進展してしまう。
「あなたは、遊びでアキと付き合ってるんじゃない?もしそうだとしたら、別れて頂けませんか?」
そう告げて、お母さんは去っていった。
1人、立ち尽くしていることしか出来ないカズヒロは思っていた。
このままじゃいけない…。去っていくお母さんの後ろ姿を、カズヒロは追いかけた。
「お母さん言いましたよね?」
ゆっくりと振り替えるアキの母。
「俺達の事、遊びで付き合ってるんじゃない?とか言いましたよね?」
「ええ。言ったわ。」
「俺、遊びで付き合ってませんから。」
そう告げて、今度はカズヒロから去っていった。
全部が、つらかった。
悲しかった。
俺は、何もしていない。
ただ、アキを愛してるだけなのに…?