適当に服を選んだ二人はその場で着替えて、また新たな眼鏡とヘアピン・帽子で変装をした。
変装をし終えた、二人は大胆にも電車で名古屋まで向かった。「人がいっぱいでばれるんじゃないのか?」と、雪野は反発したが
「事件発覚から二日も経てば意外と人はその事件を軽視するもんだよ。まさか、指名手配犯が大胆に電車で移動するとは思わないだろうしね。それに、いくらなんでも名古屋まで歩くのは嫌でしょ?」
京都がそういうと雪野は
「確かに………流石に名古屋までは歩けないかも」
と、半ば強制的に納得させられて駅まで向かった。
現在時刻は十三時十五分……高校生の体力ではもうそろそろ限界だ。ここらで渡沼と決着をつけなければじり貧でいずれ体力・精神の限界で捕まってしまうだろう。しかし、狩谷駅から乗っては流石に知り合いがいるかも知れないので少し歩いて三駅離れたところから乗車した。
途中で昼食を買って食べながら向かった。
戸羽駅に着いた二人は京都を盾にするように雪野はぴったりと京都についてカップルを装って電車に乗った。ぴったりと付くことによって顔を下に向けても違和感なく電車に乗ることができた。この作戦は名古屋のど真ん中でも通用した。
TV局の近くの路地裏に入り、京都は何食わぬ顔で振り向くと雪野の怖い顔シリーズ第三弾が後方で行われていた。ちなみに今回は口裂け女並みに口を広げて
「ところで何で私たちはTV局に向かうことになっているの?」
今更な事を雪野は聞いた。ていうか、雪野はTV局に向かっているのか知らされていなかったのだ。なぜ、TV局に行くことが渡沼を呼び出すことにつながるのか?なんだか嫌な予感がするのだが……まさかそんな事はしないだろう。雪野の頭の中には最悪の未来予想が起きていたが必死に打ち消そうと首を横に振っていた。
が、やはり究極的にずれている京都は不安を裏切る事は無かった。