圭司の目はすがめられ、まっすぐ指を指している。
僕らはようやく圭司が何を指しているか気づいた。
赤い…ライト?
点滅する赤い光だ。
「道…やった!
道があるんだ、上がるぞ」
拓斗は今度こそ本物の笑顔で叫んだ。
僕らも口々に叫ぶ。
午前0時。
ほんの数時間で辿り着けるとは…!
僕らの積んできた善行は、チリも積もればなんとやらだったのだろうか?
おー、ジーザス!
神様、仏様、もろもろの神様…ありがとうございます
顔を切ろうが、腕を切ろうが、今の僕らを藪ごときで食い止められる筈もない。
滑ったり這ったりしながらも、どうにかたどり着き…白いガードレールが目に入った瞬間の喜びは語りようもない。
ビバ、文明!
固い感触を味わいつつ、力を込めて最後の一歩。
舗装されているアスファルトの確かな存在感。
ぬるっとも、べとっともこない素晴らしい感覚。
ビバ、舗装工事!
僕はこれから一生、ガソリン税に文句は言いません! 車に乗るようになっても!
しかも、重なる幸運。
車が止まっている。
僕らはついてる!
間違いなく、ついてる!