その頃カズヒロは、部屋の鍵を借りに、職員室へ向かっていた。
アキのろう学校入学…。
考えれば考えるほど、カズヒロに笑顔が消える。
階段を上がっていたカズヒロ。
…このまま終わってしまうのか。
アキは…遠い所へ行ってしまうのか…。
そう思いつつ、カズヒロは職員室へ向かった。
その時、
カズヒロは聞いてしまった。
「2の3から声が聞こえる…。」
しばらく立ち尽くしていると、偶然ユウタに会った。「おい、カズヒロどうした。」
…嫌な予感がする…。
アキのことについて話しているのかも…。
「今日…練習パス!」
「ハァ?」
「鍵借りといて。」
「何だよ…。」
カズヒロは、ユウタに頼んで、教室へ入っていった。
「お母様も、お気持ちが変わられましたか。」
「ええ。」
やっぱり、話し合いの内容はカズヒロの予感どおり、ろう学校の事…。
カズヒロは、深呼吸をして中へ入った。
「あっ…。」
アキの母親は軽く挨拶した。
カズヒロは無視した。
「…何について話しているのでしょうか。」
ロボットのように感情をこめずに話したカズヒロ。
「え?言わなかったっけ?ろう学校入学のこと…。」「アキには言いましたか?」
「言うわけ無いじゃない!アキに言ったら反対するに…。」
カズヒロの理性が切れた。
…こいつは、本当に、
アキの母親なのか。