「俺のせいで、あんたは、ろう学校に行かせることにしたのか?」
「…何よ急に。」
カズヒロは、入学手続きの紙をビリビリに破いた。
柴山先生にすぐ止められたが、もう遅かった。
「カズヒロくんやめなさい!」
「俺は、絶対にアキをろう学校に行かせないからな!」
カズヒロは、入学案内パンフレットを握り潰して去っていった。
「…すいません。普段あんな子じゃないんですが…。」
「…ハァー」
アキの母は、深い溜め息をついた。
カズヒロは、悔しくて悔しくてしょうがなかった。
ユニフォームから制服に着替える途中も、悔しさは晴れることはなかった。
高校を出ると、ヒロに会った。
「よっ。」
カズヒロは、小さく「よっ」と言い返した。
「ん?どうした?そんな暗い顔して。」
「お前こそ…バイトは?」「今日は休み。良かったら一緒に飯とかどう?」
カズヒロは頷いた。
「よし!行こう!」
一方、サユとアキは、
『ありがとう。今日は。』「ううん。また明日、学校で会おうね。」
『また明日。』
アキはサユと別れ、1人で家へと向かっていた。
その途中、会いたくない人に…。
アズサだ。
「こんばんは。」
アキは自然に後ずさりした。
『…。』
逃げようとしたら、囲まれてしまった。
「ちょっと、今日は酷い事しちゃおっかな〜。」
『…。』
カズヒロ…助けて…。