雪野の説得に京都は
「う〜ん……わかった。じゃあリアル乗っ取りは止めるか〜じゃあ『なんちゃって乗っ取りは?』」
京都の提案に雪野は「なんちゃって?」と、首をかしげて聞き返した。
「うん。マジで乗っ取るんじゃなくてTV局の人に説明して乗っ取りに協力してもらうんだよ。それだと、局公認だから罪にはならないよ」
京都の相変わらずの笑みに少し負けそうになった雪野だが
「でも、私は指名手配犯なのよ?真っ先に通報されて終わりよ」
と、冷静に考えて反論すると
「数字にどん欲の人や僕みたいにおかしな人だったら絶対に乗ってくれるはずさ」
京都が笑いながら言うと
「(こいつ、自分がおかしいって自覚していたんかい!!)」
雪野は京都の説得よりも京都の発言に思わず突っ込んでしまった。突っ込んでしまったが、京都の発言を思い出して
「う〜ん……でも、そんな人を探す前に警備員に見つかって終わりよ」
雪野がなお反発すると
「大丈夫だって。僕にいい考えがあるよ」
京都のいつもの笑みに負けた雪野は、20分後、とても後悔していた。
「結局こうなるんだね……」
雪野はむっすりとして京都の横に座っていた。
京都の考えとは裏口から侵入するという考えだった。
裏口は人がいないイメージだったが、裏口こそ密かに出入りしたい芸能人たちが使っていて忙しい時は表よりも人通りが激しいのを知らなかった京都と雪野は入って早々一人の警備服を着た人に捕まっていた。
警備員に怪しいと連れられて薄暗い部屋まで連れて行かれたのだ。