ジン

ひつじ  2010-08-16投稿
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私は主人に仕えていて毎日こき使われている。
買い物にいってこい、食事の支度をしろ、掃除をしろ、洗濯をしろ、肩をもめ、エトセトラ。
しかし、苦痛ではない。
私のこの五万とんで二十三人目の主人は奇特な方だ。実に他愛のない要求をする。
しかし今の主人の常軌を逸した要求がある。それは主人の心に何かを抱かせる人間の死体を欲することである。
主人は町を歩き、雑踏の中から気に入った人間に目をつけ、私にその人間の死体を持って来させる。
死体の用途は様々で、若い丸々と太った人間ならば食し、容姿の美しい人間ならば淫らなやり方で思いをとげ、容姿の醜い人間ならば好奇心の赴くままに切り刻み、老いた人間ならばその死体の前で何事かをぶつぶつとつぶやきその後火葬する。
私が仕えた主人の中で死体を欲した人間はいないではなかった。しかしその主人たちはみないわゆるネクロフィリアであるだけで、今の主人のように様々な死体を求め様々な行いはしなかった。
私は夜な夜な主人の命で指定された人間の息の根をそっと止め、主人の元に運ぶ。
私はジン。人間の欲望をかなえる精霊である。
今の主人には興味を引かれている。

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