第十七話 乗っ取り企画
「なっ!?」
二人は慌てて席を立って一歩下がり身構えた。
いつ正体に気づいたのだろうか?いや……初めから気づいていたのだ。
すぐに警察に通報されると思った京都は
「クソッ!人気がないのは幸いした。恨みはないがここで気絶してもらう」
速攻で警備員を気絶させようとしたが
「ちょっちょっと待ってよ!!鏡君!」
雪野が警備員の前に両手を広げて立ち盾となったので京都は慌てて拳を止めた。寸止めで止まると雪野は大きくため息をついて両手を下ろし、警備員はペタッと腰を抜かした。
「まったくぅ〜恩知らずもいい所だね」
警備員は笑いながら立ち上がった。警備員の言葉の意味が分からない京都は「へ?」と、思わず呟くと、また雪野は大きくため息をついて
「これ以上罪を重ねないって言ったばっかよね?私は?……それに、『人気がないのは幸いした』って言ったけど、最初から私たちの正体に気づいていた警備員が何で通報しないでこんな人気のない部屋まで案内したと思うの?」
雪野は、単純な行動をした京都に文句の一つもしたかったが、言っても無駄なのでため息をつきながら説明をすると京都は気づいたようで
「もしかして!」
と、言った瞬間
「そうだよ。君たちを匿ったのさ」
警備員は笑いながら椅子に座りなおし、深々と被っていた帽子をとった。
だが、いきなり匿ったと、言われても何故警備員がそんな事をするのか分からなかったので、雪野も椅子に座って
「でも、なぜ警備員のあなたが私たちを匿うのですか?」
雪野はいたって冷静に質問をすると、なぜか警備員の人は口をあんぐりさせてかなりショックそうな顔をして自分の顔に指をさした
「もしかして、雪野ちゃんと京都君って俺のこと知らない?」
いきなりわけのわからない事を聞いてくるので京都と雪野はお互いの顔を見て知っているかどうか尋ねたが知り合いにこんなお兄さんはいなかった。二人が「「知らない」」と、答えると、またショックそうに顔に手を当てて
「俺もまだ知名度がそこまで高くないのか〜」
と、嘆いていると突然雪野が大声をあげた。