‐苦手‐
『キーンコーン』
今日は待ちに待った高校の入学式。
アタシは一回り大きい制服を着て、校舎の中に入る。誰も知り合いはいなく、一人指定された教室に行く。『キーンコーン』
予鈴がなる。
ハッと気が付くと廊下には誰もいなくなっていた。
アタシは焦って階段をのぼる。
アタシの教室は3階で階段はとても急だった。
『ガタタッ!!』
急ぎ過ぎてアタシは足を滑らした。
「痛ぁ…」
思いっきりぶつけたお尻を擦りながらアタシは立ち上がろうとする。
すると目の前に知らない男がいた。
「入学式そうそうお前何やってんの?」
男はニヤニヤ笑いながらアタシに話し掛ける。
アタシは恥ずかしくなり、とっさにその場から立ち去った。
教室に着くと、もうほとんどの生徒が席に座っていた。
アタシはため息をつきながら席に座った。
すると後ろのドアを勢い良く開け、誰かが入って来た。
一瞬にして教室が静かになった。
アタシは後ろを向き、入って来た誰かを確認した。
よく見ると先ほど会って恥ずかしい所を見られた男がいた。
アタシは驚きながら目をパチクリする。
すると彼はアタシの方へとズンズン歩いてきた。
なんだか凄い圧力でだった。
そしてアタシの隣の席の前に立ち、アタシの顔を少し見てから彼は言った。
「お前どけよ。ここ俺の場所だから」
彼が言い終わると、たちまち隣の席の子は違う席へと移動した。それどころか、その周りの席の子達も移動をし始めた。
アタシは何が何だか分からなくてその場に硬直してあた。
すると彼はアタシの隣の席に座り、体をこっちの方に向けて、ニコニコと笑いながらこっちを見る。
周りはとても不思議そうにこっちを見ている。
「なぁ。お前さ、俺の付き人になれよ」
彼は急に意味不明な言葉を言った。
そして教室中の生徒がワァッざわめき始めた。
ただ一人彼はニコニコと笑いながらアタシの返事を待っていた。
‐続く‐